人に期待するということは
ボクらヒトは他者との関わりを持ち,社会の中で生きている.中には俗世から離れて生活している人もいるが,それはわずかな人たちだけである.
他者と関わりあって生活していると,人に期待してしまうことも出てくる.「これは自分がやらなくてもあの人がきっとやってくれる」や「これはやりたくないから任せちゃおう」というような事である.そして相手が自発的にやってくれることもあるが,その相手にもきっと「やりたくないけど,やってもらえないからやるしかない」と考えている事柄もあるだろう.すると最初はいいだろうが,徐々にストレスが溜まってくる.そしてある日些細なことをキッカケに爆発してしまう.ヒト同士であればケンカになってしまう事もある.仲直りができればよいが,それが叶わず相手との別れにつながってしまう事もある.
どうすればよいか
自分が相手に期待してしまったがために生じてしまう事柄ならば,相手に期待しなければ回避できる可能性がある.期待しないとはコミュニケーションをもたないとか,関わらないといったことではなく,自分でできること・自分にかかわることをできるだけ自分でやるということだ.そうすれば「やってくれていない」「なんでやってくれないんだ」といった気持ちは芽生えず,争いの種が育つこともない.ヒトは他人の考えている事など理解できるわけではないので,意見を発しない人の気持ちは最終段階までわからない.
病院においては
病院はひとつのチームである.医療という行為を様々な職種の人が関与しながら行っている.各職種にはそれぞれの役割がある.例えば薬一つが投与されるまでも次のステップがある.1.医師がオーダー出す2.薬剤師がそのオーダーを受ける3.配膳係が各病棟へ分配する4.看護師が照合して実際に投与するといった具合である.そのため,実際は他者に期待してしまうことは多々発生する.
例えば,患者さんに合わせ投与量を調整する必要がある薬を処方する際,本来ならば処方する医師が患者さんの採血データや体格を考慮したうえで処方する.しかし忙しい時・疲弊しているときなどにデータなどをしっかり参照せずに経験上の感覚で処方し,「薬剤師の確認も入るし大丈夫だろう」と考えてしまう事がある.
たまたま慣れている薬剤師ならば問題なく・いつも通り計算・調整して連絡してくれるだろう.しかし,それが新人や知識の乏しい薬剤師であった場合に問題となり得る.
同様の事は様々な場面で生じている.それが即ち悪い事象につながる事は少ないが,悪い事象というのは往々にして単純な事の積み重ねから生じてしまう.期待してしまうのではなく,これをやって欲しいと担当者に伝えるだけでも結果は変わってくるだろう.
あまり人に期待しない
人の考えや行動は自分では制御できない.制御できるのは自分だけである.期待せずにやってもらえることには素直に感謝しよう.しかし,伝えずに期待してしまうことはよろしくない.やってもらえずに問題が生じた際に,「なんでやってくれなったのだ・・・」と怒りが生じてしまう.
それが場合によっては大切な友人・仲間との関係性を壊してしまう可能性をはらんでいる.つい忘れてしまいがちであるが,時には意識し直すことが重要である.