水中カメラ機材はこれまでミラーレスカメラを使用していた.センサーサイズAPS-Cであり比較的軽量で,比較的センサーサイズが大きいのに,比較的安価にシステムの購入ができた.

これまでのシステムは2年ほど使用しやっぱりフルサイズ機が欲しくなってきた.ということで入念に下調べを行い,フルサイズ機へのシステム変更に踏み切る事にした.

選択したのはCanon EOS 5D markⅣである.時代はミラーレス機が全盛であるが,フルサイズミラーレスはカメラ本体もレンズもまだまだ高価であるので,道具として成熟しており比較的値段がこなれてきているレフ機にする事にした.5DはMarkⅢでも十分な絵が撮影できるようだったが,性格上妥協すると満足できず買い直すことは必至である.そのため最新のレフ機であるMarkⅣにした.対応するハウジングはNauticamとSea &Seaから出ている.Nauticamは海外メーカーで,円安の影響か価格が高すぎるためSea &Seaにした.購入するタイミングですでに生産終了・在庫限りの案内になっていたので本当にタイミングがよかった.

フルサイズはでかくて重い.カメラ自体の重量も重いが,ハウジングはもっと重い.なんとハウジングだけで3000gもある.カメラとマクロレンズ(EF100mm)で1.5kgくらい.ストロボとライトをつけなくても4500gもある.覚悟はしていたがあまりのでかさと重さに面食らってしまう.

実際に水中で使用してみると,水中では一気に重量が軽くなる.さすがに高いだけあって浮力がよく計算されているなという印象である.

入念に下調べした甲斐があった.Canonのマクロレンズはさすがである.いままで超ストレスだったオートフォーカスが本当に一瞬である.物体が認識できると瞬時に合焦する.あまりの性能差に驚愕する.高いお金をつぎ込んだだけある.これだけで元はとれた思いだ.出てくる絵も素晴らしい.Canon機は初めてであり,Sonyとは操作性が全く異なるため,まだまだ操作には慣れないが固定の条件で,ストロボを弱めに炊いてシャッターを切るとキレイな写真が撮れる.

最短撮影距離の案配がまだ分からないが,使用1本目から十分満足できる撮影ができた.今後機材に慣れもっとキレイな写真を撮っていきたい.

多くの人はTGシリーズで水中写真を始めると思う.水中写真にハマってくるとシステムをアップデートしたくなることもあるだろう.もし自分の周りでそういう人が出てきたら次のようにアドバイスするだろう.『どうせアップデートするならば,中途半端なものでなく,レンズに定評があり選択肢も多いCanonかNikonのフルサイズ機がオススメだよ』と.

一眼レフにした利点がもう一つあった.バッテリー持ちが尋常ではない.ミラーレスでは特性上,起動中は常に電力を消費しているため移動時などはこまめに電源をオフにしないとバッテリー消費が著しい.だが一眼レフならば電源を切らなくてもバッテリーが全然減らない.

これまでは3本のダイビングでたくさん撮影するとバッテリー残量が気になって仕方がなかった.実際何回か水中でバッテリー切れを起こしたことがある.充電したはずなのに意図せず電源がオンになっており,水中に入るとバッテリー残量がわずかしかなかったという経験もした.

1日のダイビングでハウジングを開けると水没のリスクが高まる.よってなるべくバッテリー交換をしたくはないが,バッテリーが切れた場合は撮影ができなくなるのでやむなくハウジングをオープンする必要性があった.

これが一眼レフになった途端にバッテリー切れを気にするストレスから解放された.取り扱い説明書によると,なんと1000枚以上の撮影が可能らしい.3本頑張っても1000枚撮ることはないのでバッテリーが切れるリスクはゼロに等しくなった.

一眼レフはすばらしい.バッテリーも持つし,オートフォーカスも迅速だ.機械として成熟している.今,世の中はミラーレスにどんどん切り替わっているが,バッテリー問題は現段階の最新機種でも解決できていない課題である.時々でいいので一眼レフも新機種を出してほしいものである.