内地に訪問したついでにジブリパークとともに長良川に訪問してきた.長良川と言えば「鵜飼」である.特に長良川の鵜飼いは代々時の権力者に保護されてきた歴史があり,現在でも鵜匠は宮内庁に属する公務員とされている.これまで鵜飼を見たことがなかったため,この際じっくり鑑賞しようと思いたった.
長良川の鵜飼いは,観覧船に乗り鑑賞するスタイルである.船だけ予約して乗るか,地元旅館の鵜飼プランを利用するかの選択肢がある.せっかく遠方から訪れたため旅館に一泊し長良川温泉とともに満喫する事にした.
長良川周辺には鵜飼プランをもつ宿がいくつか存在するが,どの宿も比較的高価である.1人辺り3万円以上を要する.各宿のサイトを見回ってみたがどの宿でもそれほど違いはなさそうなので,見積もりした中で最安の宿を選択した.
名古屋から長良川に向かう.高速道路を使えば1-2時間程度の行程である.早く着きすぎてしまうため寄り道をした.
犬山市にある「犬山城」だ.以前に一度訪問したことがあり二度目の訪問となる.
今回は内部まで入ってみた.人気の施設のため入場待ちの列が30分もあった.35度の気温・直射日光が当たる場所での30分は修行のようだ.
前回はそれほど感じなかったが非常に美しいお城だと思った.
家族で来ているためゆっくり時間をかけて見て回ったのがよかったのか.子連れとなり以前と比べ旅の仕方が明らかに変化している.時間をかけると見えてくるものがあるという事を改めて実感する.
長良川に到着し,宿に向かう前にうかいミュージアムを訪問した.館内では鵜飼の歴史,手法について詳しく解説されている.体験する前に知識があった方が,より物事を楽しめるのは世の常である.有料施設ではあったがクイズの催しもやっており非常に楽しむ事ができた.鵜飼に対する知識をつけることもできたので準備は万端だ.
宿で夕食をとり,船着き場に向かい乗船する.実は食事を船でとるプランもあるが,幼児連れのため長時間大人しくしてはくれないため宿食プランとした.
食事開始は17時15分だった.乗船のため18時50分くらいには宿を出発する必要がある.時間に余裕があったはずだが,ゆっくり食事を堪能している間に時間ギリギリになってしまった.
乗船後にスタッフから衝撃的な説明を受ける
長良川周辺ではしばらく降雨がないため,川の水位が著しく下がっている.本来ならば鵜舟とともに川を流しながら,鵜飼を鑑賞するのだが水位の問題で併走ができず観覧船は川岸に止めた状態で,流れてくる鵜舟を見るスタイルになるとのことだった.
さらに,水量が少ない事もあり川の水温が30度ほどに上昇している.鮎は低い水温を好む.そのため水温がより低い川の上流に移動しており,鵜飼を行う領域での個体数は減っている.実際,川で釣りを行っても最近は鮎が全然釣れないとのこと.
貴重な時間を使って大金をはたいて一泊し鵜飼を楽しみにしていたが,開始前から暗雲が立ちこめる.
少ないとは言っても少しは見る事ができるみたいなので,あとは自分の運にかけるしかない.
鵜飼開始の花火が上がる.
篝火をたいた鵜舟が下ってくる.鵜匠の手元からは鵜達を操る縄が伸びている.肝心の鵜達は潜っているより水面を泳いでいる物が目立つ.
一艘目が通り過ぎたが,鮎を吐き出す鵜を見ることができなかった.
少し間隔を開けて2艘目が下ってくる.今度は潜っている鵜がいる!水面まで上がってきたところで鵜匠に引き上げられた.そして見事に魚を吐き出している.
鵜達はある程度以上の大きさの魚を飲み込まないようにされているので,吐き出した魚が鮎かは分からないが全容を見ることができた。
全部で6艘の船を見たが,自分たちが魚を吐き出す様子を見れたのは2回だけだった.コンディションがよければどのくらい見ることが出来るのかは分からないが,一度でも見ることができて一先ず満足だ.
雨が降らない影響,温暖化によるに気温と水温の影響はこんな所にも波及している.もっと真剣に対策を考えていかないと,僕らの子供達はもしかしたら鵜飼を見ることができなくなるかもしれない.