1日目
さあ旅行に出発だ.旅立ちの前はいつもワクワクする.
沖縄からバンコクの直行便は定刻15:55だ.国際線の場合は2時間前には空港に着けるように調整している.
フライト時間は4時間30分.沖縄住まいであり息子は飛行機には乗り慣れているけれど,一度にそんな長時間のフライトは初体験である.大人しくしていられるか心配である.長時間のフライトは大人でも辛いので子供はさらに辛いと思う.じっとしているのに飽きてきたり,不快だったりして泣き始めるのは仕方ないと思う.
世の中の大人達の中には子供が騒いでいると,舌打ちしたり静かにしてもらえませんか?とかクレームをつけてくる人もいる.そんな子供達の事情を察して泣いていても優しく見守って欲しいものだ.自分たちも昔は子供だったのだから...
出発から2時間ほどは機嫌も良く順調だった.あと半分だ頑張れと思っていたところ突然泣き始めた.額らへんを叩いたり抑えたりしながら泣き叫んでいる.熱はないものの最近は鼻水が多かった.副鼻腔炎でリバースブロックの症状が出ているのかもしれない.そうだとすると到着する以外に症状は収まらない.寝てくれればいいのだが,痛みもあり機嫌がとても悪いためなかなか寝付いてくれない.ずっと泣きっぱなしで周囲の人達の目が痛い.LCCで席をアップグレードしていたため,周りに人は疏らだったのがせめてもの救いだ.
30分以上も泣き叫び疲れ果てたのか漸く眠りについてくれた.痛みも忘れられるはずなので,このまま着陸してくれてるのを祈るばかりだ.
祈りが通じて着陸まで眠ってくれた.起きたら痛みは消えていたのか,眠気がなくなったのか機嫌がとてもよくなっていた.
出発が30分ほど遅れていたが,タイに到着したのは予定到着時間とほぼ同じであった.それから入国手続きを済ませ,宿泊予定のホテルへと向かわないといけない.
ここでタクシーを利用すれば楽だったかもしれないが,コストを重視しバスを選択したのが間違いだった.
バンコク市方面へ向かうバスには4系統があるようだ.僕らはスクンビットに宿を取っていたため,A3系統に乗る必要があったが,なんとこのバスは50分に1本しかやってこない.上手くいけばすぐに乗れた可能性もあるが,前のバスが何時に出発したかなんて全く分からず,いつバスがくるかも分からないため,食料を買いに行くこともできないまま待つしかなかった.
A1やA2のバスは何回もやってくるが,A3がなかなかやってこない.ようやくバスがやってきたのは待ち始めてから45分が経過した頃だった.
A3到着に合わせエアコンの効いた入り口近くで待機していたと思われる若者たちが一斉にバス乗り場に押し寄せる.順番なんて関係なしに我先にと割り込んでくる.
そしてバスは日本で言う路線バスだ.大きなスーツケースを乗せるようなスペースはない.人が多い中で狭い通路に何とかスーツケースとベビーカーを押し込みギリギリ乗車する事ができた.
下りる時にも同様に20キロ以上もあるスーツケースを持ち上げ,人に当たらないように運び出さなければならず修行のようであった.
子連れで荷物が多い人は乗らないようにするべき交通手段だ.ただでさえフライトで疲れているのでタクシーを利用すべきだと心から感じた.もし次にバンコクに行く機会があったら絶対にタクシーを使う.
バスを降りてからは電車に乗り換え,漸く目的のホテル最寄りの駅に到着した.駅からホテルまでは徒歩8分だ.荷物させなければたいしたことはない距離だ.
歩き始めて早々に後悔することになる.バンコクの歩道は高い段差の上にある.そして日本のようにスロープ状の物はついておらず,荷物は完全に持ち上げる必要がある.脇道がある度に歩道が途切れるため,都度荷物を下ろしてあげ直さなければならない.
交通量が少なければ道路を歩けばいいが,バンコクの交通量はとても多い.特に大きな道路の交通量は半端ではない.ベビーカーとスーツケースの2つの大きな荷物を抱えながら,大きな段差を何度も上げたり下げたりする必要があった.ホテルにつくころには肉体的にも精神的にも疲れ果ててしまった.
タイでは大きな荷物を抱えている場合には絶対にタクシーの利用がいい.
ホテルはメルキュールホテルバンコク・スクンビット11という所にした.ホテル自体は駅から離れている事もあり,宿泊料の割に部屋が広く,かつ繁華街の中にあるにも関わらずとても静かで申し分なかった.
ホテルにチェックインしたときにはすでに現地の21時を回っていた.日本時間では23時だ.子供は昼寝はしたと言っても眠さの限界のはずなので,早々にシャワーを浴びさせ眠りについてもらった.
今思えば,タクシーを利用してさえいればおそらく1時間弱は早く到着できていただろう.少しのお金の節約で大変な苦労と子供に負担を強いてしまった.ただ経験してみなければ,バンコクの道歩きが大変な事も,バスに乗るのも大変な事も分からなかったので,親の経験としては良かったかもしれない.
2日目
前日は就寝時間が遅かったにも関わらず,息子は普段通りの6時に目を覚ました.そしてやたらと元気である.
ホテルのベッドの質がよかったのか,僕らもしっかりと疲れが取れており自然に目覚めることができた.
ただし腹はペコペコだ.繁華街の中であり,いくらでも食べる所はあるだろうと考え,ホテルの朝食をつけていなかった.さっそく準備を整えて街巡りを開始した.
妻が出国前にかなり下調べをしていてくれた.行きたいお店があるというので,徒歩で30分ほどかかるが向かう事にした.
スーツケースがなくなったので,かなり身軽だ.楽ではないが,ベビーカーだけならば段差があっても歩くのに慣れてきた.
30分ほどバンコク市を見物しながら目的のお店まで歩を進めた.
街ではすでに渋滞が始まっている.交通量はとんでもない.信号が赤でも左折は進んでもいいらしく,横断歩道を歩いていても油断するとぶつかりそうになる.そしてバイクの数は東南アジアらしく尋常ではない.右からも左からも車・バイクがやってくる.カオスだ.日本の渋滞など可愛い物だと思わされる.
そして町中では屋台が軒を連ねている.タイの屋台料理は安い.皆屋台で朝食を調達し職場で食すのだろうか.
ようやく目的の店に到着したが,店に電気は灯っていない.何と定休日のようだった.途方にくれたが,次の店を探すしかない.
屋台で食事を買っても食べる場所がないので,店を探す.どうせならば日本にあるようなチェーン店ではなく,現地の店で食べようと思った.朝食メニューを掲げているカフェがあったので寄ってみることにした.
システムがよく分からなかったが,メニュー表に絵が出ている商品2つとドリンク2つを注文した.物価は日本よりもだいぶ安いと聞いていたので,値段はあまり気にしていなかった.
久しぶりの食事に胸が高鳴る.子供と3人であっという間に平らげた.払った時には気にならなかったが,エレルギーが調達された頭でレシートを確認し直し愕然とする.
オムレツ210
サーモンエッグベネディクト310
サイドベーコン50
アップルジュース100
エスプレッソ70
合計740バーツ
2024年9月現在の円バーツの為替レートは4.2円だ.740バーツは3100円という計算になる.
これがヨーロッパやアメリカならば,物価が高いと知っているので必要な経費と考えただろう.しかし物価が安いと思っていたタイでこの値段は驚愕だ.
後々分かってきた事だが,タイの食事は屋台ならば確かに安い.しかしレストランや世界的なチェーン店を利用する場合は,日本と同等もしくはそれ以上となる.
香港の時にも思ったが,日本はいつの間にか世界の国々追いつかれ追い越されている.今後,日本人の給料では東南アジアでも気楽に旅行できない時代になっていくのかもしれない.
食事も終わりエネルギーが沸いてきたので,バンコク市内の観光スポットを回っていく.市内で見物予定なのは3大寺院とワット・パクナームだ.
幼児連れで4つも観光スポットを回るのは大変だと思ったが,遥々やってきたため頑張ろう.
まずはワット・ポー
次は王宮.ワット・ポーのすぐ横の敷地にあるが巨大すぎて入り口まで徒歩では時間がかかった.
ランチを食べてからGrabタクシーでワット・パクナームに移動.巨大仏像は工事中のため見る事ができず・・・
最後にワット・アルン.
三大寺院達は服装に制限がある.暑いのにハーフパンツやサンダルは禁止だ.ワット・アルンは比較的規制が緩く民族衣装をレンタルし観光している人が多かった.
王宮だけ入場料がやけに高く(2000円)行かなくても良いんじゃないという話もあるが,とても綺麗な建築物であり,楽しめたので行ってよかったな.
寺院の観光中はベビーカーを持っていてもそれほど不自由はなかった.歩く距離がかなり長くなるのでベビーカーは持って行って良かった.