真相を読者の解釈に委ねるタイプの物語

本のあらすじ

カリスマにより人を操る事ができる女子高生「景」.彼女が作ったゲームにより大量殺人を行う物語.本の帯にラスト4行の衝撃と書いてあるので,意識しながら読み進めていく.

話は主人公の小学生時代から始まる.ある学校に転校してきた主人公.そこですでにカリスマを発揮し始めていたヒロインと出会う.彼女の名前は景.景にはファンが多く,ふとしたことで景と仲良くなった主人公は,いじめの対象とされてしまった.最初は何気ない内容から始まったいじめだが,徐々にエスカレートしていく.最終的には主人公がケガをするようなことも生じてきた.彼がいじめれている様子を手とともに映した写真集のサイト.景は主人公がいじめられている事を知ってしまい,いじめの解決のためにいじめの首謀者を殺害してしまう.首謀者がいなくなったことでいじめはなくなり,主人公の悪夢のような日々は終わりを告げた.

月日は流れ,疎遠となっていた景と修学旅行で再会を果たす主人公.

本を読んで感じたこと,疑問に思ったこと

ラスト4行の衝撃.注意して読んでもさっぱり訳が分からなかった.乾くるみ『イニシエーション・ラブ』で感じたような「まじか,だまされた・・・」みたいな読後感は全くなし.

しばらく考えてみたが・・・ 
よく分からない.「消しゴムに書いているのが自分の名前である事を知っている?」

景が自分の恋人となった主人公をずっと「名字」で読んでいたこともなんだか腑に落ちない.主人公は,出会った小学生の頃から彼女を「景」と呼ぶ.そういうカップルもいるかもしれないけど,かたや名前で呼んで,かたや名字で呼び続けるってなんだかしっくり来ない.私はあなたに心を許していませんよ,あなたは私の操作対象ですよって事を暗示していたのかな?

自分なりに考えたこと

真相を作者が書いてくれず,話中にちりばめられた情報から,読者が解釈するタイプの小説はなかなか難しい.すっきりしないこともあるよね.